リセットに関する若干の考察

昨日の夜、あ、そうだと書きとめた文章を日記にして
残しておこうと番さん宛にメールしたら、何度やっても
文字化けしてしまうので あきらめた。

それを今朝ほど、もう一度打ち込んでいたら、どんどん
思考が回りだし、量が多くなってしまったので、いかがな
ものかと案じていたが、ま、いいかと送ってしまうことにした。

それが、以下の文章である。 長い・・・。

日本製RPGの先駆けであるドラゴンクエストシリーズ
世に出る前、そのドラクエがお手本としたウィザードリー
とかウィルティマなどの米国産RPGに はまっていたのは、
二十数年前なわけだが、当時 それらのゲームを 途中で
セイブすること自体、非常に困難を極めた。

特にウィザードリーなどは、基本的に地下ダンジョン(迷路)
の最深部へ行って、あるアイテムを持ってくるだけが目的の
ストーリーもナニも考えなくてよい単純なゲームだが、
これがアナタ、いったん地上に戻ってこないとセイブできない
設定になってたですよ。(確か初期のシリーズは)

ということはどういうことかというと、最終的に最深部に行って
アイテムを取ってくる時も、地上から一気に降りて
行かないとダメなわけである。そんなん、ほんの2〜3
時間でできるわけないから、週末中、電源入れっぱなし
にして、進行形で ずーーっとやってた記憶が。

そうそう、このウィザードリーがエグイのは、ダンジョン
でAチーム(確か4人構成)が全滅くらうとするでしょ。
そーすると、地上に待機しているBチームがその亡骸を
回収に行かねばならんことだった。

地上でしか 復活できないことはもとより、
回収に行かないと、それまで苦労して集めた武器とか鎧
とか、お宝の類いが、その辺をウロウロしている敵に
略奪されちゃうのだ。それどころか、育て上げた
キャラクターの死体そのものが食われちゃうと、永遠に
復活できなくなってしまうのであった。あなおそろしや。

だから、同程度の実力のチームを最低2チームは交互に
育て上げていかないと、とてもエンディングを迎えられ
ないという、シロモノで、途中「もうやめたっ!」と
大声で叫ぶことは3〜4回ではきかなかったと思う。

ドラクエシリーズの初期の方も、復活の呪文とかいう
意味のない文字列を紙に書き写して、次回やるときは
その通りに入力しないとその場面から再スタートできない
という方式だったので、あまり意図的に「リセット」する人は
いなかったんではないかなー。

それがいつごろからか、セイブすること自体が簡単になり、
例えば、宝箱が二つあってそのうちの一つしかもらえない
というような時に、二つとも中身を確かめてから、ゲームを
先に進めるなんてことが常識のようになりだしちゃった訳で。

ゲーム誌が競い合って、発売前にゲームの内容を暴露して
いき、それをおバカな亜流ゲーマーが読みあさる。

攻略本見ながらゲームをやって、何が楽しいんだろうか、と
他人事ながら考えあぐねていたものだが、今思えばあれは
人気ドラマを見なければ翌日学校や会社で話の輪に参加
できない「仲間はずれはイヤだ」症候群の一種だったんだ。

ほんとのゲーム好き人間は、少々展開が遅くても、ある時は
感情移入しまくり、ある時はゲーム作者の心を読みながら
ほくそえんだりして「楽しむ」ものであり、攻略本を見て先に
進むのは邪道であると、ぼくは信じている。

ドラクエIIの最後の神殿への入り方が解らず、くやしくて
会社を三日休んで、よーやく自力で見つけたり。

ドラクエV天空の花嫁)では、おてんば娘とお嬢さんの
どちらと結婚するかで、丸二日悩んだりした。


うー、何が書きたかったんだろ?

あ、そうそう。 あれだけ社会現象にもなったドラクエやFFに
代表されるRPG(ロール・プレイイング・ゲーム)が、簡単に
リセットできる設定にしちゃったことは、あの時夢中で
リセットボタンを押しまくっていた若者の思考体系に、
とてつもなく大きな負の影響を与えたのではないか、と
杞憂するものであります。

偶然、時代を同じくして、テレビでNG大賞なる番組が、
恒例となりだした。 テレビも映画も、ベストショットを求める
ために、何回も同じシーンを撮り直すことは よくあることだが
そのNGシーンが可愛らしければ、オンエアーされちゃうのだ。

その対極に位置すると思われるのが、生ドラマなわけだが、
残念ながら、今はそんな番組は日本にない。

その代替として、シチュエーションコメディがある。 いわゆる
舞台演劇の生中継のようなものだ。

舞台だから、失敗してもtake2の やり直しはない。
たとえ、セリフをとちったとしても、そのまま演じる・・・。

万が一 セリフが思い出せなくなっても、周囲の人に助けて
もらって とにかく最後までベストを尽くす。

「失敗したら、やり直せばいい」という軽い風潮ではなく、
「人生はリセットが効かない一本勝負」であることを、
しっかり肝に命じて生きていってほしいと思うわけであります、
若者よ。

「まさか死ぬとは思っていなかった」という殺人犯のコメント、
あまりにも、おバカすぎる。