ダンスワークショップ 最終日

今日は最後に3チームに別れて「表現」をしてもらいます。それに必要な要素をどんどん紹介していきます。途中、難しそうなものは私のデモンストレーションだけで次に進むかもしれません。 と、蝉丸先生。

立ち位置から、上半身だけ脱力してみます。そうすると腰のあたりからカラダが折れて、頭と手が、前方へぶらんと垂れ下がっていきます。ま、これは下半身は脱力しないという約束事があるので、そういう状態になるのです。一気に前方へぶらんときたら、揺れ戻しのように、ぶらんぶらんと振幅は小さくなりながらも2〜3回揺れます。その状態から、こんどは「波」の力で腰から腹、腹から胸、胸から首・頭へと波うちながら元の立ち位置に戻ります。

はい、はじめて登場です。踊りの基本要素のひとつ、「波」。ぶらんと垂れ下がった上半身を、もろ背筋を使って一気に直線的にもとの立ち位置に戻すのではなく、ぶらんと垂れ下がった次の瞬間に、膝をちょっと曲げて上半身を波打たせながら戻すとそんなに力が要りません。うん、これ理屈では解るけど、やってみるとタイミングを掴むのが難しい。ほんの一瞬の「時」を逃すと、動きがぎこちなくなり、無駄な力も必要になってきてしまう。

立ち位置から、脱力で上半身をぶらん〜タイミングを掴んで膝を曲げ、波打たせて上半身を戻す〜静止しないうちにまた脱力で上半身をぶらん〜を繰り返しやってみる。←これが、踊りの5大要素のひとつ「リズム」。蝉丸先生のこの繰り返しの一連の動きを見ていると、なんか気持ちよさそうに見えちゃうから不思議。

こんどは、立ち位置から右足を真横に開いて、左足で沈み込み〜立上がる。左右のデモンストレーション。膝を痛めやすいのでやるときは入念な準備運動を。この動きは、今 左ひざを痛めているため、見学。 つぎに立ち位置から左右の足の踵をそれぞれの尻にぶつけてみる。左足の踵は左尻に、右足の踵は右尻に、ぺたぺたとなるように。要するにジョギングをしながら、踵で尻を蹴る(?)感じかな? 次に、左足の踵で右尻を、右足の踵で左尻をぺたぺたするように。リズムよく〜。 (うう、これも 踵が尻に届かずー。くやし〜)

さぁ〜いよいよ、振り付けっぽい動きになってきましたぜ、お立ち会い。
脱力状態で仰向けに寝ます。それからゆっくりと腰を動かしていき、カラダを丸めて正座の状態までもっていくのですが、その直前に、足を「盗み」ます。(たしか、「盗む」だったと記憶してるけど・・・「送る」じゃないよなぁ) 「盗む」とは、自然な流れの動きではないが、全体の流れをスムーズにするために、意図的にする部分的な「動き」のことで、「ここで足を盗んで・・」というように使用する。

正座の状態になる直前に足の指を立てて(足の甲全体を床にぺたりと付けるのではなく)、正座を通り越して爪先で立ちあがり立ち位置になるわけだけど、この場合、「爪先立てておく」ことが、「足を盗む」ことである。要するに、自然の流れの中では、「つまさき立つ」動きは出てこないのだが、仰向けの状態から正座を通り越して立ち位置に立つまでの動きの流れをスムーズにするためには、どこかで「つまさきで立つ」ことをしないとならないわけで。

で、立ち位置まできたら、両手をゆっくりと空中の上の方に差し出していく・・・・。バンザイ\(〜o〜)/の状態ではなく、肘を120°くらいの角度で上に上げ、顔も天を見上げる・・・・。

それから、空中にある空気の玉(大きな風船を想像してみる)を両腕で抱え込むように・・・・抱きかかえた状態で ふーーーっと息を吐いていくと、その空気の玉がだんだん小さくなっていき、最後に、ビー玉大になってしまいました。そのビー玉大のものが、へその辺りから体内に入ってきます。(おー、また、そうきたか) その玉が、体内を動き回るので、重心が変化し、バランスが崩れ、足が動いてカラダが動いていきます。あくまでも、ゆっくりと、かつ ゆったりとした動きで。

体内を動き回っていたビー玉は、最後には腕を通って指先の方に動いてきます。で、指先に「花」を咲かせたいと思うのです。伸ばした両腕の先に両方の指を使って、花が自然に開くさまを表現します。

この仰向けに寝た状態から、花を咲かせるまでの流れを、山海塾では「吐息と花」と題して、実際の舞台にもいろいろ取り入れているとのこと。 う〜ん、吐息と花かぁ〜。すごいタイトルだなー。

というわけで、このワークショップの最後を飾る意味でも、4〜5人が一組になって、その「踊り」をやってもらいます。実際には、5人、5人、4人の三組に別れて集団踊りを披露する羽目になっちゃいました。

動きの集大成です。自分がどこまで「イメージ」に没頭できるかが勝負になります。イメージに没頭できないと雑念が湧き出てきて、「自分はなぜこんなことをやっているんだろう?」となって、「恥ずかしさ」が出てきてしまいます。要注意。

では、踊りに際しての「イメージ」です。 はい、太古の昔から、数千年、数万年ものあいだ、塵芥(ちりあくた)として泥水の中に沈殿していました。(それが、仰向けの自分) そこに一瞬の光が差し込んできました。沈殿物に生命が宿ります。(ほんとかよっ) 生命が宿った沈殿物は、徐々に立上がっていき・・・太陽の光をつかもうとしますが、叶いません。 周りにある「気」を抱え、吐息をはきながらその気の小さくなったモノを体内に取り組んで、そのエネルギーで花を咲かせましょう。

その流れのうち、太陽の光を掴もうとするくらいから、4〜5人がゆっくりと入り乱れて、あたかも一つの植物であるかのように動きます。まず、最初の合図で中心に寄るようにしてください、ゆっくりと。十分寄ったら、前後左右に入り乱れる動きをする。 で、二度目の合図で、みんなが見ている側へ、徐々に移動してください。移動しきった段階で三度目の合図をします。そしたらその場で花を咲かせるまでの動きをしてください。咲かせる花の位置は、できるだけ空いた空間に。で、最後に「最後の花を咲かせてください」といいますから、動きの中で花を咲かせて、咲かせた状態で静止していてください。最後の人が花を咲かせた段階で、はじめて花が5つ揃って咲いている状態になってるわけですね。

・・という5人組の最初の組のメンバーの一人として、踊った。時間にすれば、ほんの5〜6分だったろうが、「イメージ」を大切にして表現できたような気がした。五つの花がそろって咲いた時、踊りを観ていた生徒?から拍手が起こった。ちょっと、気持ちよかった。

たった三日間のワークショップで、何がつかめたのかを明言することは難しいが、確実に今までとは違う自分が垣間見えたことは事実である。蝉丸先生の演技を観るためにも、自分が垣間見たものを確認するためにも、9月の山海塾の舞台がすごく楽しみになってきた。