東京事変 渋谷一日目

渋谷公会堂に着いて、しばし考えた。この前、ここに来たのはいつだったんだろう? 記憶をさかのぼること二十数年、70年代後半にやった大瀧詠一のソロライブにたどりついたのだった。 おお、なんたる会場! 古すぎるわい。。。まず売店にアルコールが売られていないことにガクゼン!! 一階席もなだらかな傾斜付で、ステージはよく見えるが、いかんせん、後ろから2列目だ。横須賀の二階席のほうが、むしろ近かったような・・・。 記憶が正しければ、音響が著しく良くない会場じゃなかったっけ・・・・。

曲順などは大まかに掴んでいるわけだし、ある意味、こちらのペースでノッていけるので安心していたのだが。
どん帳が上がって、林檎の唄がドーンとはじまると、ほとばしる感情はとてもコントロールできる状態ではなくなっていた。会場は、はかったように全員が総立ち状態。深緑色の、古い言い方ならミリタリールック! タイトなスカートにロングブーツ! 髪にもグリーンローズのような髪飾りを! これで息も継がせず、入水願い〜遭難と。 Dynamite!がはじまると、林檎嬢上着を脱ぎ捨てるっ!  ノースリーブ姿がまぶしいぜっ!

実はデビュー前の林檎嬢が、あるオーディションで「ここキス」を披露していたとき、東京事変の六弦担当である晝海は、その生姿を見ており、その時の強烈な印象を語っていたことがある。で、インタビュアーが「もしライブなどでここキスをやったとしたら、晝海さんは、どのように演奏されますか?」と聞いた時の答えが「冷静に原曲に忠実に」だった。

5曲目が、「ここでキスして」であった。晝海の六弦は、原曲に忠実では全くなく、自由奔放というか、型やぶりなジミヘンばりのウネリのパフォーマンスを見せたのだった。続いて丸の内サディスティックも全力で飛ばしていったが、「同じ夜」では ねっとりと歌い上げる。観客は聴き入るが、誰一人として座りはしない。

晝海のMC。横須賀の時と比べ、なんと軽やかで洗練されたMCであることか! 余裕でミリタリー風のジャケットを脱ぎ去るが、こんな軽いキャラクターのヤツだったのか?  林檎嬢との英語デュエット曲、「顔」に続いて彼の曲「if you can touch it 」を。すなおにカッコイイ曲だから許してやる。

節目の10曲目は、「車屋さん」。この曲のときだけ、音も割れずにしっとりと耳に届く歌声。 思わず唸っちゃうほどの巧さだぜ、こんちくしょう。リコーダー姿もかわいいし。というように、朗々と続くライブ。アルバム曲以外では、往年の名曲 I`m gonna knock on your door。日本語カヴァーしたのは、弘田ミエコか九重ユミコだったか。(ひょっとしたら伊東ゆかり?)

横須賀のゲネプロ時と比べて、圧倒的な「差」があったのは、MCだ(笑)。あんな小学生の劇より稚拙だったしゃべくりが、全国で場数を踏んできただけあって、なんと流暢になってきていた。(なーんも変わらなかった一人を除く) あとは、曲の躍動感だ。磨き上げられた輝きを、どの曲も放っていた。横須賀の時より曲数が増えた気がしたのは、単なる数え間違いか? 群青日和をやり終えて いったん着替えに下がった軍団は、心〜夢のあと を歌い上げ、全25曲の幕を閉じた。林檎嬢といえは、白のツアーTシャツを片方だけ袖を通し、もう片方は脇の下で。。。。。

それにしても音響がひどすぎ。林檎嬢もタバコをやめてから、より声に艶とはりがでてきたのに、それが確認できないほどの音の割れ具合。歌もうまく、演奏もスゲーだけに、もったいなさすぎ。あと、空調暑すぎー。ネクタイ姿を汗ダクにさせるなー。
 ・・・・と、こんな感じでした、カノカノ。