ケニヤの店で

ケニヤが働いているBARのカウンターの隅で、
客として、ケニヤが調理したフレンチ系の料理を食べていた。
まあ、普通にうまい。選んでくれたドライシェリーもいい感じ。

カウンターの逆の端でグラスシャンペンを飲んでいた御婦人が、
カウンター内のケニヤに対し、「ケニヤ君のケニヤって、
どういう漢字を書くの?」と尋ねたのを耳にした。

ケニヤは「健康のケンに弓矢のヤです」と、さらりと答えてから、
「ケンはじいちゃんの名前からもらったんです。じいちゃんは
健(タケシ)という名前だったから。」と続けていた。

「へぇ〜、ケニヤっていう名前は、おじいさんがつけたの?」
という御婦人に、「いや、あそこにいるボクのオヤジがつけて
くれました」といって、僕を指差した。

「え?そこで、こっちに振るのかい?」とココロで思ったけど、
「あ、どうも。名付け親でーす。」と会釈して返すのが精一杯。
せっかくの振りをしっかり返せなくてゴメンよ、息子よ。

あとでケニヤから、御婦人は有名なイタリアンレストランの
オーナーだと聞かされた。へえ×64な代々木上原の夜。