生林檎博`08 10周年記念祭 11月30日

二日前は、東京からだったので割と近く感じたが、今日は茅ヶ崎からの出発だったので、さすがに1時間45分(JR料金片道1,450円也)は遠かった。
今日はステージに向かってすぐ右側の4階席。武道館並みに急傾斜な座席なのでさすがに立ち上がる客もおらず、座って観戦できたのはよかった。
ステージ前に60〜70名ほどのオーケストラピットが設定されている。
定時に開演のアナウンスがあってしばらくしてから全員白衣姿のオーケストラが入場。クラシックのコンサート時のように、夫々が音合わせを始めるざわめき。定時から10分ちょいでネコ氏が登場。厳かに最初の曲「ハツコイ娼女」が始まる。ステージに立てられた白い壁に、歌詞が次々に映し出されていく。林檎嬢はまだ姿を見せない。曲後半でステージ中央部分に、下からエレベーター?登場。(スモークとレーザービームでよく解らなかったが)
なんとアタマに鹿の角のような立派な白いツノに、蜘蛛の巣が絡み付いたようなはたまた繭のような白い糸がついている。白いフリルがついたマーメイドラインのドレス(淡いブルー系だったか?)で、裾は1mくらい地面に引きずっている。紅白の初期の小林風だな。
「シドと白昼夢」「ここでキスして。」「本能」「ギャンブル」とたたみかけるように歌い上げる。ここキスではギターを係の人から付けてもらう(かぶりもののため林檎嬢は身動きとれない)。
ここで、「林檎の筋」と題してデビューから10周年を映像で振り返るという、結婚披露宴でよく見られるような写真と男性アナウンス。BGMにオーケストラ奏でる「宗教」
「ギブス」から前が銀後ろが黒のワンピース。茶系のファーマフラーに、髪は肩まで長いウィッグでキーボード演奏。ステージが時計回りに回転する。(ステージ上のポジションは、真ん中に林檎嬢、上手に師匠、下手に長髪ギター、林檎の真後ろに長髪ドラムスの4人組)
「闇に降る雨」の時、ファーマフラーを引きずってステージ上手に歩いて行き、エレベーターでステージ下に消える。同じところから上がってきたとき、ファーは手放していて「すべりだい」を。
「浴室」では流し台が林檎嬢の前に。最初はキーボードだろうと思っていたが、どうも違う。曲中歌詞の「洗って切って水の中〜」に合わせてなのか、林檎嬢が真っ赤なリンゴをものすごい早さで薄切りしていく手元がスクリーンに大写しされると、会場がどよめく。包丁を右手で右肩越しに持って歌う「浴室」は狂気の雰囲気。
「錯乱」でかろやかに歌った後、アカペラでねっとりと入った「罪と罰」ああ、この熱唱を聴いただけで8千円の価値があるなと大感動した、感情移入しまくり、鳥肌立ちまくりのバージョンだったなー。
衣装替えして黒のタイトなコート姿?にウィッグをとってのショートボブで「歌舞伎町の女王」「ブラックアウト」を。
ここで「林檎の芯」と称して、林檎の生い立ちを7才の息子のナレーションで。林檎はこのさいたまアリーナに近い土地で生まれた(11月25日生まれ)こと、生まれた当時栄養を吸収できないカラダで救急車で新宿区の慶應病院に運ばれ二日間の大手術で一命を取り留めたこと、林檎の赤ちゃんの頃の写真とともに、還暦を迎えた祖母の若かりし頃の写真もアップされる。この間のBGMはオーケストラの「やっつけ仕事」。息子のナレーションが愛くるしい。
「STEM」から緑系の模様入りバルーンスカートのワンピース? 「この世の限り」で兄・椎名純平登場し、ハモりまくる。兄貴も林檎と同柄のロングコートに頭にインディアンの酋長風な茶系のかぶりもの。一生のうち一度でいいからこのような曲をつくるのが夢です、と、本日唯一のカバー曲「オニオンソング」を兄とオケピ前の細い通路を歩きながらハモリ熱唱。出だしのタイミングを測るための、歌う直前の大きなブレスが印象的。
「夢のあと」「積木遊び」ではお約束の振り付けも。「御祭騒ぎ」では薄黄緑色のカットソーに白エナメルのショートパンツ姿。途中から高円寺商店街の阿波踊りの皆さん(総勢約80名)がステージで踊る。「カリソメ乙女」でのさよならで、ステージ奥から下に飛び降りて消え去る。これにて本編終了。
ステージの4人は去ったが、オケピの弦楽器担当はそのまま。約2分後にアンコール「正しい街」衣装は銀ラメのミニのワンピース。「幸福論 悦楽編」をやってステージを後にするも、オケピメンバーは引っ込まずなので、催促の拍手は続く。
再度のアンコールでは、こんなに大きな会場でライブやったのは初めてだし、こんなに多くの演奏家のみなさんとご一緒に歌えたのは、レコーディングを含めて初めてのことで、とてもうれしく思っている。人生史上で一番大勢!と感謝の意を表明した(千秋楽のみ)。自らが7才のとき作った処女作「みかんの皮」を披露。かわいらしい小曲。続いてこの日のために作ってきたという新曲「余興」を。これで正真正銘の最後の演奏。
正面のスクリーンに、映画のエンドロールのようなものが映し出される。BGMは「丸の内サディスティック」最初は英語バージョンだった。このとき手拍子が起こったのも初日にはなかった現象。最後に「自作自演 椎名林檎」と表示。
ああ、嗚呼、やっぱり、自分のファンが何を望んでいるのかをファンクラブを通して明確に把握しているからこそのライブエンターテインメントなのだなー。それが選曲にも反映されているし。なんといっても、歌が上手いことが素晴らしい武器だ。多くの一般人は、林檎のパフォーマンスの特殊性、ゲテモノ的な行動のみを取り上げて論じているが、林檎の歌唱力の凄さをもっと知れといいたい。
ま、とにかく、凄いステージを二度も観せてもらって、キョンちゃんライブが霞んじゃったのでした。
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