視聴率考

番さんが掲示板で熱く語ってくれたのを 見逃してしまった。

タイミングを逸するということは、すなわち かつての
「テレビ的」な出来事ではなかったか?

テレビ的+ラジオ的=電波的 という「的」

かつては刹那的 ともいっていたのかな?

だからこそ、「視聴率」という魔物がはびこるわけで。

刹那的でない「録画率」などは、無視される傾向にあるし。

というわけで、日本のテレビ業界の視聴率は、たいてい
VR社の調査結果の数値を使用しているわけだが、
通常、世間に出る「視聴率」なる数値は、世帯視聴率のこと
をさす場合がほとんど。

関東地方で、視聴率調査の対象世帯数は約600世帯だから、
7.5%の視聴率とは、調査対象のうち45世帯がチャンネルを
合わせた結果の数値であるわけだ。

ことは単純である。

ただし、この世帯視聴率の考え方の基盤になっているのは、
テレビは一家に一台という、大昔の日本の家庭の実態である。

家族は全員で同じ番組を見ている、という図式。

まー、ゴールデンタイムといわれる夕食の時間帯では、
こういうような光景は見られないでもないけど。

だからこそ、世帯ではなく「個人視聴率」という指標で
語られなくてはおかしい、と言われはじめて久しいのに。

個人といっても、ある程度おおざっぱにくくられていて。

C=4〜12才、T=13〜19才、F1=20〜34才の女性、
F2=35〜49才の女性、F3=50才以上の女性、同様に
男性がM1、M2、M3であり、全部で8層に分けて、その
指標を管理しているのである。

だから極端な話、アニメーションなどの番組で、C 層における
個人視聴率がズバ抜けてよければ、それに適した「広告商品」の
コマーシャルをその番組で流すことが、効率がよいことになる。
たとえ世帯視聴率が低くても、だ。

すなわち、繰り返すが、本来は「個人」視聴率で語られるべき
なのに、「世帯」視聴率の方がニュースネタとして一人歩きして
いるために、あまり状況をご存じでないスポンサーのお偉い方が、
「(世帯)視聴率が低い!」 と発したりするもんだから、
テレビ局サイドも番組継続の重要な指標の一つとせざるを得なく
なっている。。というのが、実情だと容易に推察できるのである。

また 一方で。

元来「テレビ番組を提供する」ということは、そのスポンサー企業が

1)テレビ番組が提供できるくらいの大会社である
2)番組内容と同じような良いイメージを持つ会社である
  (例えば、サザエさんなら「親しみやすい」イメージとか)

。。。ということを、その番組の視聴者にアピールしたいがために
行う企業のコミュニケーション戦略の一つであって。

直接的に「CM商品」を売るための販促活動であるところの
「テレビスポット」とは目的を別にすべきなのだがー。

この「番組提供」というヤツは、かつては一番組を一社で
提供することが普通だった。

だからこそ、番組提供スポンサーとして、絶大なメリットを
享受していたのである。

少なくとも60年代の前半までは、不◇家提供の「ポパイ」
とか、ミツワ○鹸提供の名犬ラッシーとか、大塚製△提供の
とんま天狗とか。。。みんな今考えると図々しくも主題歌の
歌詞に、自らの企業名を入れちゃってるもんだから、我々
子供らは、”ミツワ、ミツワ、ミツワのラッシー〜♪”やら、
”姓はおろない(ん)、名は軟膏〜♪”などと歌っていたわけだ。

きゃー、すげーすげー。ほんとだってば。

一社提供番組では、いわゆる企業イメージをアップさせる
ことを目的に作られた1分CMとか、長いものでは3分CM
なんてものまで放送できちゃうから、企業にとって
高いお金払って提供する意味があったわけである。

蛇足だけど、今までで最強の一社提供番組といえば、
年末に、NHK以外の日本全国の全系列の放送局を
すべて提供していた時計のセイ◇ーの番組だろう。

まー、紅白からの流れでそのままNHKを見続ける人が
多かったのは事実だけど、なんてったって、買い切れる
局の電波は全部残らず買い占めた電波ジャック状態
だったんだから。

その流れの最後の生き残りだった▽芝日曜劇場では、
ドラマに登場する家電製品は、全て▽芝製を使用して
おり、さりげなくPRしていたわけだし。

こういう一社提供という形態ではなく、複数社提供になると
複数社の利害は完全一致をみることは少ないわけで。

複数社の最大公約数的なモノが「世帯視聴率」となる、
というコトになってしまいがちなので、解決をソコに求めがち
になってしまうと。

たとえ視聴率はぜんぜん稼げなくても、こんなに内容が
充実した良心的な番組を ウチの会社が提供することが、
社会的貢献活動の一つなんだからーという(余裕のある)
確固たる考えをもった会社が少なくなったということが、
昨今の 短絡的な視聴率重視の考え方による番組の
打ち切りにつながっているんだろうなー。

タツノリを 虫けら扱いした某企業の上層部も、短絡的な
思考しかできない体質なんだろうなー。

それと、気が付けば個人視聴率の分類で、M3になっていて。
この事実にはしっかりと対応しなければならないと思った。
うん?