ケニヤの客演感想

今回の「ルームシェア」は、ひさしぶりによく練られている脚本だなと感じた。そう感じるということは、演出との息が合っているということだと思う。脚本家がどこまでト書きを書いたのか、演出家がどこから手を加えていったのかの境界線は解らないが、両者が噛み合わなければ、気持ちのいい舞台などできるわけがない。
全体的な印象は、ストーリーが解りやすく、展開にスピード感があって、一時間半が短く感じられたわけだが、難を言えば、冒頭の演出がまずかった。竹本の演技力では状況説明と、演技の二種類のセリフの違いが、こっちに解りにくい。状況説明部分はバッサリとナレーションにしたほうがよかったのでは。(本当は照明で、その差を演出したいところだったのかも?) 照明を使っての演出では、四人で救出作戦を練る過程のところ。リズムがあって暗転前後の四人の体制・動きも良かった。うんうん。

今回の演技が炬燵に座っての場面が多かったけど、あの会場では非常に見づらかった。すくなくとも円形劇場くらいの座席傾斜がないと、座っての演技は観客席からは見づらい。(これは舞台監督の範疇?)
気づいたままに順不同でいくと、竹本が磯貝に何か冷たいもの飲むかと焼肉のたれを持ってきて「ギャグギャグ」と言って引っ込むシーン。初日は計算されたように柱?にぶつかって笑いをとってたけど、あれを二回目以降も使わない手はないと思った。まあギャグで笑いがとれないという二人の気まずい雰囲気を表現する演出だったのかもしれないけど。
エンディングで竹本がバケツもってタバコを吸うシーン。やっぱり禁煙の会場なんだから、あそこは火をつけるべきじゃないと感じた。(ホセに言われてすぐ消すにしても、火をつけなくても演じられるハズ)
どの回もかなりの笑いがとれてたのは、「弥生土器」と、「ケニヤが竹本のマネするところ」と、「弁当箱を開けたら缶詰」、「大家の階段降り」だったと思う。身内がいうのもナニだけど、この前の印度華麗、今回のチーム蛇円への二回の客演で、ケニヤの演技が一皮むけた気がする。安定感が増して安心した笑いがとれるようになったとでもいうか。何回観ても、笑わせるところでは自然に笑えたし。でもやっぱり忘れちゃならないのは、ヤジの存在。ケニヤのリズムというか「間」がわかっているだけに(今までのDeep時代では、ほとんど絡みがなかったかもしれないが)、二人の呼吸が合って、その結果として いいテンポの笑いが演出できたと思う。ヤジのさりげない自然な「受け」や「流し」が、笑いを引き立てるために重要だったという認識もキチンとしておいた方がいい。
Deepの同窓会のようだった観客(クラモト、相原、日高、甲斐、平子ら)の姿を見たら、現役Deepにヤジを加えたメンバー全員での舞台が観たいと強く感じた。

まーそれにしても「舞台を観る」基本的常識を知らない観客が多かったので、前説での注意が必要だったかも。
役者では道井と山川の独特な雰囲気がよかったのと対照的に、あまりにもひどかったのは竹本。しかし彼は、二回目の舞台で岡山と山形を間違えてから、最後まで間違えつづけたのか?