ダンスワークショップ初日

自分を内面からも何か変えることができるのではないかという期待のもとに参加した「山海塾」系のダンスワークショップでの出来事を、自分の記録用に記してみた。長文御免。

「動きやすい服装でご参加ください。ジーパン、デニムのパンツ不可。タオル、飲料などは各自でご用意ください。」、というのが主催者側からの参加に際しての注意書き。市民会館の大ホールがあるフロアの「練習室1」という部屋に集合。ここがワークショップの会場にもなるらしい。(8m×10mくらいの広さで、正面は全面鏡貼り)

参加者リストをちらと見たら、男性はボクだけだった。女性は専用の更衣室があるらしい。男性は、ここで着替えてください。あーそうですか。着替え終えた女性陣は、一見してなんらかの「ダンス」経験者のようなコスチュームになっていた。バレエシューズ履いてる人もいるし。(下半身は夏用のジャージのようなやつで、上はTシャツ、というのが多し。色彩は地味め。)

で、それぞれが各自でストレッチなどのウォーミングアップを始める。みんな身体やわらかすぎー。そんな大股開きしちゃってさー。既に自宅でラグビー用のストレッチをやってきていたボクは、サッカーのゴールキーパー用7分丈のパンツをはいてたこともあって(?)腹筋とかプッシュアップ(腕立て伏せ)とかをやって、周囲からかるく浮いていた。(笑)

定刻に蝉丸先生登場。白の長袖Tシャツのスソを、白のジャージパンツの内側に入れている。う〜む、そうきたか。先生の頭は剃髪されてはいない。五厘刈りがやや伸びてきた感じ。声も想像よりも高音で、やさしさを感じる声だ。最近のワークショップでは女性の参加が多いんですよー。って、男が一人しか参加してないっちゅうの。女性陣は20才代前半〜40才代後半くらいな層がまんべんなく。その中の二人は、過去に約一週間の合宿形式のダンスワークショップに参加したことがあるという(今は毎年富山で開催しているらしい)。うへー。

最初の15分くらいは、「舞踏」、「山海塾」の歴史話と、今後のワークショップのオリエンテーションを車座になって聞く。ふむふむ。山海塾は、舞台公演の入場料収入が唯一の収入源だから、公演をやるために全国を飛び回ってるが、日本は2ヶ月だけで縦断できちゃうので、最初は残りの期間に仕方なく海外公演をやっていた。そしたら、海外(フランス、アメリカなど)で評価されちゃって。。。なーるほど。

そんなことよりも、蝉丸先生が考える、舞踏の五大要素とは。1)集中と だらけ  2)波  3)リズム  4)呼吸  5)重力  だそーだ。(休憩時間に忘れないうちにメモする) ふむふむ。で、初日の今日は、まず「力を抜くこと(=だらける)」をやってみましょう。

二人ペアになって、一人が床に仰向けに寝ます。手は、足もとから見て「ハ」の字になるように、手の甲を下にしてだらりと。その状態で力を抜いてください。もう一人は、寝ている人の側面を手のひらで、ゆっくり押してあげてください。(ふくらはぎ、太もも、腰、胸の側面) 本当に力が抜けていれば、プリンがぷるぷるするように、ゆっくり揺れ戻しがあるはずです。これを交代しながら。

つぎに、同じ状態で一人が寝ている人の足もとに屈み、両足首を両手で持つ。その手は肘を直角にして自分のお腹につけて、身体で左右に揺らすようにする。最初は緊張しているからか、うまく力が抜けないが、いったんコツをつかむと寝ている側は、くねくねと魚が泳ぐような動きになり、気持ちがよい。

足が終わったら手の弛緩。仰向けな人の「ハ」の字の上腕部付近に立ち、親指と小指をつかんで上にあげる。そしてゆっくり前後に揺らす。(揺らされる手は肘で直角に曲がっている状態)ちいさく、時には大きく。床すれすれ、10cmくらい離して。で、急に親指と小指をつかんでるのを離してみる。肘からがんっと床に腕が落ちれば、力が抜けていた証らしい。

今度は、その仰向けの弛緩状態から、できるだけダラダラと、ゆっくりと起き上がっていき、最終的には正座している状態になるまでもってくる動き。まず、腰を徐々に左側にねじっていく。それにつられて右足が徐々に左足に近づき、上を通り越してクロスする。身体全体を丸めるようにしていくと、太ももが腹に近づいてくる。頭も前傾させていく。後頭部から側頭部〜おでこと床に接地する部分は移動していくが、床についたまま。身体をもっとねじっていくと、ある瞬間に右腕が背中側から腹のほうへ、ばさっと移動する。正座になる直前のポーズは、足は正座しているが、頭頂部は床についたまま、両手もだらしなく床に投げ出されている状態で、そこから上体を起こし、正座の姿勢になる(仰向けの状態の、頭のてっぺん方向に正座)。局部に力を入れないで、腹筋と背筋を意識してやりなさいと。

このゆったりした動きが、いかにも暗黒舞踏っぽいなあ。これができたら、これの逆回転を。正座状態から、ダラダラ崩れていって、仰向けの状態へ。これを左右どちらからでもできるように。

踊りとしての人の動きには、「カタチ」から入るものと、「キモチ」から入るべきものがあるという。「キモチ」とは、聞き慣れた言い方だと「イメージ」のこと。「イメージ」から入るカラダの動きとは、いったいどのようなものなのか?  衝撃の映像はCMの後で! って、CMなんてないわい。

「イモムシ」と呼ばれているイメージ上の象徴的な「動き」があります。うつ伏せに寝てください。で、脱力〜。ダラダラ〜。はい、その状態で、ビー玉が肛門から入ってきました。そのビー玉は、背中の皮膚のすぐ下あたりを通ってどんどん頭の方へ移動していきます。首を通って頭につく前に、そのビー玉はカラダの外に出てきました〜。はいっ、こういう状態をイメージしてカラダを動かしてみてください。

。。。。。はぁ?。。。。。。

イメージわかないようですから、私がまずやってみましょう。といって蝉丸先生のデモンストレーション=模範演技。   な、なーるほどっ!  肛門から入ったビー玉は、背中の隆起部分の移動という表現方法で、頭の方に移動しているように見える。 こ、これぞ暗黒舞踏の神髄か!  。。。と思っていたら、その矢先に、「いやぁ〜、今のは失敗でしたねー。ビー玉が肩甲骨のあたりから、また下に下がってきちゃいましたねー。」  。。。。せんせ、そんなの ぜんぜんわからへんかった〜。。。。。

いかに先生といえども(山海塾的舞踏歴30年)、カラダが暖まっていないと、こういう失敗もあるということを教えていただいた(けど、わからんものはわからん)。しかし、これは実にむつかしい。でもこの動きはあくまでも「自分のイメージの具現化」に目的があるので、他人から理解不能に見えていても関係ないらしい。  うう、ボクは「肛門からビー玉が入る」というイメージは、自分の中で昇華できたものの、それが背中の皮膚の下を通って移動していく。。。というイメージが湧かなかったのだった! 

そのデモンストレーションを観ながら、ペアの人は、「観察」をすることを余儀なくされる。観察しながら、ここをもう少し隆起させて、とか、その箇所を指でつっついて知らせる。皮膚感覚で受け取った情報は、「その部分」を意識して修正しやすいと言う。うんうん、それはそのとおりだ。

緊張と脱力の実践のため、「集中することは大切だが、集中しすぎると視野が狭くなることがある。時には、ぼんやりとして全体を知覚することが必要なときもある」という先生の話の納得度 高し。