通夜式

年末という時節柄、愛犬天海を預かってくれるペットホテルが満員、いや満犬状態だ。仕方がないので天海を譲り受けたブリーダーさんにお願いする。

ケニヤ家も27、28日と連休をもらい、鳩をうきょうの実家へ預かっていただく段取りをつける。
風は28日の店が予約で満杯の状況とのことなので当初は諦めていたが、27日の昼食片付け後に抜け出して、通夜だけ出席してその日の最終で茅ヶ崎に戻り、28日の早朝から店に出て働く〜ということで許可が出た。

14時前に実家に着いたら、遺体を葬儀場に運び出すところだった。修理済みのエレベーターに運び込み搬出。喪服に着替えて、待機。兄貴の会社は依然フル回転で営業中だ。しばらくして雪が舞い始める。その中を、オフクロを連れて式場に移動。寒い夜のはじまりだ。

親族が揃い、風も間に合って19時に通夜式の開始。本日はおっさま一人だけで読経。喪主以下、親族も6列で焼香する。通夜に訪れた人々の中に、二、三十年ぶりの顔を見つけて、深々と礼。通夜式後、あらためて久方ぶりの再会を、オヤジの想い出を通して語り合う。しみじみ〜。

若い頃、住み込みでオヤジの会社で働いてくれた人々。。。米国大学卒業後〜就職までの半年間、オヤジの会社で荷造り・配送のバイトをやっていたころ一緒に働いていた人々。。。近所付き合いのあった人々。。。姉貴の解説付きで、次々に記憶が蘇ってくる。

そういえば今日の昼間、寒いので冠っているニットの帽子を室内で脱いだ時、ふと嗅いでしまった匂いに「じいちゃんの匂い」を感じてしまった。あ〜くせえなあ〜なんだろこれ、でも嗅いだことあるな〜あ〜そうだ、じいちゃんの匂いだ〜というふうに、「即」ではなかったが、じいちゃんの匂いを感じたのだった。

それはおそらく、夏休みに、じいちゃん家に遊びに行ったとき、じいちゃんがボクの汗を拭いてくれた時の手ぬぐいの匂いだったかもしれない。とにかく「じいちゃんの匂い」であることは鮮明かつ確実な記憶にあるのだった。じいちゃんの匂いが自分から出ていることに対して、最初はびっくりしたが、あきらめて納得した。だって、ほんとに「じいちゃん」なんだから。

。。。というようなことを通夜の席で感じたのは、オヤジのオヤジ(=ボクの父方のじいちゃん)のことを意識していたからだろうと思う。オヤジのオヤジの通夜は、おっさまの寺でやり、一番若いからという理由でボクが線香当番を命令され、親戚に混じって兄貴と本堂の板の間で一晩中飲み明かしていた二十数年前を想い出していた。

そうか、この地方では通夜の時は泊まり込んで徹夜するんだ、ということを想い出した時は既に遅しだった。洗面道具も妻の化粧用品も実家に置いたままだけど。十数年前は毎年末に訪問していた姉貴宅でのことを久しぶりに語り合う姉貴やその息子たちとウチの息子たちを見て、なんかとてもうれしくなって寝てしまっていた。