四万十川ウルトラマラソン100km当日 10月16日
2:30起床。2:50朝食、茶碗に3杯飯を食う。3:30ホテル出発、ジョグで宿毛駅へ。3:40発臨時電車に乗る。結構、思ったより混んでるじゃん。長座席に完全に横になって寝ているランナーも一人。
中村駅までノンストップ25分間の間に、いなっちは足首テーピングを、ボクは眼鏡の変更とサプリの最終確認。到着後、市内循環バスでスタート地点付近まで移動。そこから暗闇の中、橋を渡ってスタート地点まで歩く選手たち。先方には煌々と炊かれた松明の灯りが。
開会式会場は、前日の大雨で校庭がぐちゃぐちゃになっている。シューズを汚さないように注意。
仮設トイレは男性用はすでに列ができている。女性用は、この時点ではガラガラ。
戦友となるいなっちと、自分のカメラで腕を伸ばしての2ショット。
前夜祭でもご一緒だった、世界のすー。さん(24時間走の世界記録保持者=Bad Waterでの女性1位)といなっち。
先に見えるのがスタートゲート。いなっちとすー。さんは、もっと前に移動。
選手を鼓舞してくれている和太鼓隊。これからがんばるぞ〜と気分は高揚してくる。
暗闇の中を走るのは、なかなか雰囲気がある。東海道の夜間ランで慣れてはいるので走りにくくはないけど、選手密度が高いので、足が引っかからないように気をつけて走る。
スタートして最初のエイド。2.5km毎のエイドにあるのは、水だけ。
だんだん夜が明けてきて、かなり明るくなった段階。
アマゴ(高知ではあめご)の養殖場とのこと。ふうん、伊豆でエンゾさんが釣ってくるやつだな、と興味津々。
10kmをすぎるとじわじわ登りになる。
つづら折りの登り道。下段の選手たち。
十川まで21kmの標識。
緩やかな登りながら、朝日が気持ちいい。
急勾配ではなく、緩い登りが21kmの峠の頂上まで続く。足柄峠に比べれば、おこちゃまレベルだが、速すぎないように気をつける。
川のほとりも走る。気持ちよく走れる。
このあと、25kmあたりで、蜂が一匹 正面からこっちに向かって飛んできた。と、思ったら、背後に回っていきなり後頭部右側をブスリ(ちくりより数倍痛い)と刺しやがった! 持っていた汗拭き用のハンドタオルで蜂をつかんで、そのまま握りつぶす。タオルからはがす時、スズメバチ似だったので、ちょっとパニック状態に。
刺された後頭部は、ズキズキして痛い。この毒が全身に回って、しびれて走れなくなるのでは?
とにかく、毒?を絞り出さなくっちゃと、ハンドタオルで何度も刺された箇所を絞り上げる。
とりあえず、まだ走れるので、走り続け、次のエイドで蜂に刺された旨を告げるも、アンモニア等の薬はなかったので、とりあえずマキロンをかけてもらう。と、後続のランナーも頭を刺されたと飛び込んでくる人多し。お尻を刺された人もいた。(Yahooニュースによると、アシナガバチだったらしい)
峠を越えて下る時は、キロ5分30秒程度で押さえて下る。それでも、かなりのランナーを抜くことができた。レース後半に脚を残すためにも、キロ5分より速くならないよう気をつける。
と、32km地点で、四万十川に遭遇!
昨日の時点で通行止めにして、金網を貼って落石を防いでくれていた箇所。
しばらくは、右手に四万十川を見ながら走ることができる。気持ちがいい〜
午前中なので、まだ陽射しは強くなく、風が気持ちいいんだよ〜
この辺りくらいの上流なら、まだ水は澄んでいる。このへんでもまだ刺された後頭部が痛いので、そうだ、ロキソニンを持っているんだ、と痛み止めのロキソニンを飲んでみる。痛みはだんだん感じなくなっていった。よしよし。
やっぱり主役の四万十川が視界に入るとうれしいな〜
橋の中央でたまらず立ち止まって、デジカメで撮影する選手多し。
橋向うに続く国道。そこを走る選手たち。
こんな具合に、四万十沿いの海に向かって右側の国道を走って行く。
アップにすると、このように。
逆光に映える四万十川
橋を渡って、また左側(この地点だと南側になるのかな)を走る〜
絶景ポイントが多いので、デジカメを構える頻度が高くなっちゃう区間。
この橋のカーブが美し過ぎて。。。。
いいなぁ、これ。
半家の沈下橋を渡って、
。。。橋の向こうを折り返して帰ってくる
54kmあたりから、また登りになる。そんなにキツくないのに、50kmを走ってきた脚にとっては、けっこう辛い。周囲の選手は、全員が歩いている。ボクは「完走」が目標だったので、ゆっくりでも走って登り切った。
その中腹から四万十川を見下ろした絵。けっこう登ってきたな〜
56.5km地点の第2関門。1時間16分の余裕。ここでの現在時刻なら、トップは既にゴールしていたことになることは、この時点では全く頭になかった。
このころから、陽射しが強くなり、日影じゃないと暑く感じる。汗も出てくる。
下って、再び四万十川が近くに。
61.4kmの第3関門。この時点でも1時間16分程度の余裕。だが、暑い。
この後、62km地点にレストステーション(カヌー館)に着いて、スタート前に預けた荷物を受け取ることができる。カヌー館に近づくと、係りの人がゼッケンナンバーを読み上げる。するとレストステーションにいるボランティアの若い学生さんが、そのゼッケンナンバーがついた荷物を持って、ボクに手渡してくれるシステムだ。
レストステーションでは、いろんなおにぎり(シャケ、昆布、塩胡麻など)、アンパン、クリームパン、みそ汁、バナナ、みかんなどの補給食も揃えてある。
芝生の上で、応援の家族と一緒にくつろいだり、何かを食べたり、着替えたりしている選手が多い。ボクも一応着替え(上だけ)は持ってきていたが、着替えの必要なしと判断して、スペシャルドリンクのカロリーメイト カフェラテ味、VESPAしゃばしゃば、クリームパン、おにぎり半分を補給して、iphoneでこの時点までの無事を発信。iphoneは、このままゴール地点への荷物に入れる。さあ、後半のスタートだ。気を引き締めてスタートする。
川から離れた小径は日影になって気持ちいいけど、
川沿いの道は遮るものがなくなり、陽射しが強いので、帽子をかぶって走る。川に円柱のコンクリートが建っている図。なんだろ、これは?
岩間の沈下橋。
この沈下橋は、渡ったらそのまま突き進むんだよ〜
渡ってから、振り返って沈下橋を撮影。撮影ポイントでもあるのですね。
途中、誰も並んでいないトイレがあったので、なんとなくもよおしていた大を済ます。しばらく行ったら、立命の旗の基に、私設エイド。今回は、どうも私設エイドに対する無言の締め付け圧力があったと、様々な方面から耳にした。特に、大会名物でもあった80km地点過ぎの私設エイドは、川海老の炭焼きからビールまで用意されていた大人気エイドだっただけに、過去大会の出場経験者からは、寂しい〜の声が多く寄せられた。
それはともかく、ここの私設エイドは、梨が向いたヤツが並べられ、美味しかった! ありがと、おっちゃん!
この吊り橋を渡っている時に、前を走る女性ランナーが、橋のたもとで戻していた。あ〜、お腹にきちゃったんだろうな〜という思いと、やっぱりボクは胃腸にはこないタイプのランナーなんだなーと思った記憶がある。
この吊り橋からの四万十川の眺め。
71.0kmの第4関門。昨日のバスの運転手さんがそこにいて、走りよってきて、ボクが写真撮りますよ、といって撮ってくれた一枚。ありがとう。でも、本心は、もう結構時間的余裕が40分ちょいしか無くなってきているので、早くしなくっちゃと思っていたところ。
75kmあたりで、なぜか足が前に出なくなる。なんで、ここで?と思うけど、足を前に運べない。
訳が分からないけど、どうしようもならない。
だけど、なんとか足を止めずに歩く。でも、それが、せいいっぱい。なんで? どうして?
もうこの段階では、思考力が働かない。 思考力が働かないっていうこと自体、頭への栄養がストップしているハンガーノック状態だったのでは?
ガーミンの記録によると、77kmと78kmは、キロ10キロオーバー。前後の記録もキロ8分台と9分台。そんなに長い間、歩いていたんだ〜。ハンガーノックかも知れないと、shotzを取り出して口にしてみる。でも、まずい。マズイって感じることは、これは今、カラダが欲していないんだ、と、なぜかとっさに思ってしまう。全部吸い取らないうちに、残りをポーチに入れてしまった。
道ばたにある自販機を見て、そうだ、コークを飲もうと思った。小銭をポーチに入れてきたはずなのに、50円玉しか見つからない。100円玉はどこへ行った?
ポーチの中身を、自販機の前で全部出してチェックしてみる。時間は、どんどん過ぎて行く。でも、ボクは今、コークが飲みたいんだ! 千円札が出てきた。自販機に入れるけど、なぜか押し戻されてくる。。。それを三度。。。千円札の角の折れ目を直して、ようやくコーク350mlをゲット!
となりでは、応援のおばさんが、小銭を持って、笑みを浮かべて待っていた。あ、すみません、お待たせしました〜とお辞儀をすると、い〜え、いいんですよ、頑張って下さい〜と爽やかな笑顔。なぜか、この笑顔を見て、我に帰った。
あ〜、オレはゴールしなくっちゃ、と。
コークの赤い缶をぷしゅ〜〜〜っと開けて、ごくごく飲む。美味い〜!
でも、350ml全部飲むと、お腹がタポタポして走れなくなるのは、練習のとき実験済み。三口飲んで、コークの缶を持って走り始めるという冷静さが、なぜか戻っていた。
四万十川の東側を、淡々と南下するコース。陽射しが容赦なく照りつける。暑い。
79.5km地点の第5関門。もはや余裕は16分しかないんだと愕然とした記憶がある。この地点で一度、あ〜これで完走は無理だな〜と思ってしまった。が、今考えれば、その時点ではかなり冷静な判断だったのではないか。9km前に約40分あった貯金が、16分まで一気に減り、まだあと20kmも残している〜という事実。
でも、ここでの投入を決めていた、VESPAの濃いヤツと、J-グルタミンの残りの全部(10g分くらいを水に溶かしたもの)を服用する。これでダメなら、仕方がねえや!
西日が強く照りつける中、なんとか踏ん張れる脚が戻ってきた。
うん、なんとかキロ7分台の走りがキープできている。
86.9km地点の第6関門で、19分の余裕に戻す。よし、行けるぞっと元気が注入される。もう注入するサプリはウィグライしか残っていなかったので、効いてくれと願って口に入れる。
ゴールまであと10kmくらい。夕闇が迫ってくる。この辺りから、沿道の声援が「おかえりなさ〜い」になってきた。う〜、と感じたが「ただいま〜」と返事をする元気は残っていた。
見上げれば、鮮やかな飛行機雲が。レストステーションで、これはひょっとしたら、12時間前後の時間でゴールできるかもしれないな〜と一瞬感じたことを、遠い過去の出来事のように思い出してみたりした。
93.9km地点の最終関門。まだ14分の余裕がある! あと6kmちょいを57分で走ればいいんだ。クロク54。うん、キロ9分のペースでもゴールできると計算できた。
暗闇の中のエイドで、光る棒をポーチにつけてもらう。そういえば、最後に登り坂があったぞ、と思い出して、途中の下り坂ではできるだけスピードを増して走ったつもり。
中村市内の戻ると、沿道応援は、おかえり〜の大声援。涙を流す暇もなく、ただいま〜と声に出して声援に応えて走る、走る。最後の登りも走り切る。(後から聞いたら、あの世界のすー。さんですら歩いたという坂を!)
沿道の声援の中、「ビール、飲みてぇ〜!」と叫びながら走って、ウケた。ちょっと、うれしい。
ゴール前でゲートの写真を撮る余裕も。ゴールする一人毎に、ボランティアの人がゴールテープを貼り直してくれることも、直前で目撃して、後ろから誰も迫ってこないことも確認して、ゴールに飛び込んだ!
サングラスをはずして、ゴール直前で大きくジャ〜〜ンプ! 見事な空中ゴールの瞬間が、オールスポーツで確認できた(笑) カッコいいから買わなくっちゃ!
というわけで、初のウルトラの苦しんだ末のゴールながら、涙のない、楽しいゴールになってしまった。こんなに長い間、お世話になった大会関係者の皆さん、ボランティアの皆さん、沿道で応援してくれたおばあちゃん、おじいちゃん、気持ちよく走らせてくれて、ほんとに、ありがとう!
FINISHERメダルを首からかけてもらい、フラフラしていたら、いなっちがいた! レース直前まで足の裏が痛いと言っていたんで、最悪リタイアかもと心配していたが、さすがMY☆STARの先輩いなっちは、50分も前にゴールしていた。
荷物を受け取って、更衣室(中学の体育館)へ行って、下半身をスキンズのリカバリータイツに着替える。太腿にCold Sheetを二枚ずつ貼って。これで直後の対策はOKなハズ。
ゴール地点から中村市内のホテルへ循環バスで戻るが、宿毛行きの無料バス(20時発が最終だったらしい)はないということが解ったので、中村駅まで循環バスで出る。
宿毛までの電車が来るまで、いなっちとコンビニのビールとワンカップのお燗とで完走乾杯!
宿に戻って、シャワーを浴びて、夕食に食堂に行ったのが22時ちょい前。なんだか、そんなにお腹がすいていないのに、山のようなおかずの山。2合のぬる燗では、とても二人で食べきれる量じゃなかったな〜、ごめんなさい、残しちゃって。
部屋に戻って、バタン、キュー。
今日の走り100.7km 月間走行距離=178.2km。
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