東京駅忘れ物取扱所 5月13日

実は昨晩、とある飲み会の帰りの東海道線で、i-Phoneを忘れたようだ。ようだ、というのは、駅について座席を離れるときに、何か「忘れ物をした感」があったから。
その感じに、後ろ髪をひかれながらも(はい、髪なんてない、という突っ込みはナシね)、発車寸前だったこともあって(要は、到着時には寝ていたのだ)、あせって電車から降りてしまったのだった。
で、降りてから、あの「忘れ物をした感」は何だったんだろうと考えてみた。傘じゃないなー今日は。カバンも持ってるし。。。ケータイがない、ケータイだ! でも、ちょっと待てよ。電車の中でケータイなんか取り出して見た記憶がない。。。。
そうか、ケータイは飲み会でも見なかったから、きっと会社の机の上に置き忘れたんだ。と、その晩は自分を納得させて寝たのだった。
で、今朝、出社して机の上にケータイがないのを確認したので、あ〜やっぱり、あの「忘れ物をした感」は本物だったんだ、と妙に納得したものの、さて、探さなくちゃ。
東海道線内での忘れ物の探索に関しては、もはやベテランの域に達しているので、どこから攻めればいいのかは解っているつもりだ。
JR東日本は、2002年5月から「遺失物管理システム」を導入して問い合わせ窓口を「テレフォンセンターお忘れ物案内」に一本化した。
(それまでは、東海道線での忘れ物がたとえ回収されていたとしても、どの駅で保管されているのか解らないため、なんと各主要駅それぞれに電話して確認する必要があったのだ)
だからそこに電話して、そこの端末から、東海道線で回収された忘れ物をチェックしてもらえるようになったハズであったのだが。
なんと、このダイアル(050-2016-1601)には、日中はほとんどつながらない。問い合わせ電話を一本化して便利になったように思ったけど、コレだけ繋がらないんじゃ全く話にならない。JR東日本の関連サイトには、「一日1700件もの問い合わせにお答えしています」と誇らしげに書いてあるけど、その裏には電話がつながらなくて困っている人が十倍はいるだろう。
仕方がないので、第二の手段として、仕事の帰りに東京駅の忘れ物取扱所に出向いた。
窓口に座っている65〜70才くらいのおじさん二人から、「はい、何をなくされましたか?」とユニゾンで元気に問われる。
この窓口も、問い合わせ客が列を作っているときは、いつ、どこで、なにを、なくしたのか、という情報を記入用紙に書いて提出するシステムなんだけど、今は空いているから口頭で説明してくれればいいですよ〜と、まずは、フレンドリーな応対。
基本的にこの窓口は、ヒマなのだ。この窓口の存在場所自体、奥まった分かりにくい場所にあるから、人が訪れないのかも?
昨日の夜20時台に、東海道線平塚駅以西でケータイを座席に置き忘れましたと申請。するとパソコンを操作していたオジサンが、即座に「ケータイは中折れタイプですか?。。。あ〜残念ながら、その時間帯にケータイは届けられていないようですね」と、あっさり。
ちょっと待ってください。ケータイと言ってもアイフォンという、こんな形状の物で(といって、i-Phoneの写真を見せる)、これと全く同じ格好でパソコンのような商品も出ているので、ケータイという分類じゃなくて、逆に、傘とかカバンとか衣類じゃない物は、全て画面でチェックして欲しい旨を伝えると、あっさりその通りに調べてくれるようになった。
きのう一日で東海道線で回収された忘れ物は、全部で92件あります。それを一つずつ見ていきましょう。と、これは傘、これは、かばん、と独り言でチェックしながら、ほんとに一件ずつ確かめてくれている。閑な時間帯でよかったなー。
あ〜なんか英語の品物が出てきましたね〜、アイ、ピー、エッチ、オー、エヌ、イー。。。。ソフトバンクと書いてありますけど。。。
それそれ、それがi-Phoneというボクが探しているものですよ!
あ〜、そうなんですか。でもこれはケータイと分類されてないですね〜 お客さんの忘れた時間帯とも合っているので、多分そうなんでしょう。じゃあ、今小田原で保管されているので、このテレフォンセンターに電話して確認してみてください。
あのぅ、すみません、ケータイがないので、その電話(おじさんの机上にある)でかけていただけないでしょうか?
いや、それはちょっとできませんねー。
じゃあ、この辺で公衆電話はどこにありますか?
そうだねー、最近は公衆電話みかけないもんねー おーい、○○さん、ここらへんで公衆電話はどこにあるかねぇ? ここをずーっとまっすぐ行って駅の外に出た右側にあるコンビ二あたりにあったような気がするな〜
こういう対応が旧国鉄っぽくって、イライラするのだけど。
結局、テレフォンセンターには電話がつながらず(「現在たいへん混み合っていますので、またあとでお掛け直しください」というアナウンスを聞くだけで、朝から130円も使わされたぞ)、直接小田原駅に受け取りに行くことにした。
東京〜茅ヶ崎間は約1時間、茅ヶ崎〜小田原間は約30分だが、東京から通して小田原まで1時間半乗ると、さすがに「遠い」という感じがする。(笑)
小田原に着いて、東海道線のホームにある駅長室の一角に忘れ物取扱コーナーがあった。係の駅員さんはまだ20代の若い人だったので、i-Phoneといったら、すぐ持ってきてくれた。
が、充電が切れている。カバーも外されて、油っぽい指紋だらけになっている無残な姿。あ〜あ。
昨晩はフル充電状態だったので、よほどあちこちいじらないとまる一日では充電切れにはならないはずですが、このi-Phoneに何をしたんですか?と、若い駅員さんに詰め寄る。
いえ、私はさっき引き継いだばかりで何も知りません、だって。
もういい、自分のi-Phoneだと確認できたので長居は無用だとばかりに帰ろうとしたら、「すみません、これがお客さんのものだということを確認できないとお渡しできないんですが」ときたもんだ。
係りの言い分は業務上もっともなので、「そちらが確認できるために、私は何をどうすればいいのですか?」「いえ、それが。。。i-Phoneは初めての扱いなので。。。」と しどろもどろ。
結局、ボクが受け取り証に住所と氏名と電話番号を記入して、本人確認のために免許証を見せて、「何か問題が出てきたら連絡してください」「こちらも、これを充電したら壊れていたとかデータが飛んでいたという事態の時のために、あなたと、昨日担当だった人のお名前をちょうだいできますか?」と丁重に尋ねて、ようやく無事に、i-Phoneを回収できたのだった。
東京駅忘れ事務所の人と対峙する時には、あらゆる可能性を考えて、しつこく角度を変えて尋ねてみることをお勧めします。最近、やはり携帯電話の忘れ物が年間11万件(前年比117%)と増えているが、返却率は約7割だそうですから。